砂浜から沖合いまで網を張り、たくさんの人の力で網を引き寄せ魚を獲る昔ながらの漁法、地曳網漁。ヨイショ!ヨイショ!と掛け声をかけ、全員が一丸となって網を引っ張ることこそ、地曳網体験の最大の魅力です。だって、雄大な大自然のなかでみんなのちからをひとつにして何かを成し遂げること、それは普段の生活では得ることの出来ない貴重な体験…。ぼくもわたしも先生も地元のおっちゃんも、みんなが仲間。一人の力も欠けてはいけない、そんな「仲間」の素晴らしさを肌で感じとれます。

 人の力だけで網を引いて魚を獲るのは本当に大変な作業。でも、その大変さは、網の中でピチピチはねる魚を見ると、自然に拍手が起こるほどの喜びに変わるんんです。それが、心がひとつになった瞬間です。

 稚魚を手に取り「赤ちゃんだから海に帰してあげていい?」と聞く子。初めは恥ずかしがっていても網を引くうちに大きな声を出せるようになる子。磯遊びで先生より上手にウニを採る子。さばいた魚の血や内臓を見て、他の生き物の命を頂くという真の「いただきます」の意味を知る子。周りから「すごいなぁ!」とほめられ認められる喜びを知った子どもたちは、極上の笑顔の”お調子もん”に変身します。

 また、帰ってから自然学校での経験を家族に話すことで、親子のコミュニケーションの切り口ができ、お調子もんになって話す子どもの笑顔、それが次へのやる気につながるものと私たちは確信しています。

 私たちの父親の代にはじまった地曳網への取り組みは、より充実した体験となるよう改良を重ね、気付けばもうすぐ30年になります。海のゆりかご”アマモ”が自生する三田浜をはじめ、香美町の豊かな自然環境の中で子どもたちがのびのびと過ごし、喜びを心と体で感じて欲しい。それが、私たちの願いです。